パリ五輪・パラリンピックでは、日本のカメラメーカーもしのぎを削っている。スポーツ写真の分野で長年シェアを競ってきたキヤノンとニコン。そこに新興のソニーが加わり、パリ五輪で「3強」の構図ができあがった。戦いの主役は各社の旗艦モデルが出そろったミラーレスデジタル一眼カメラだ。
競泳競技の会場となったパリのラデファンス・アリーナ。階段状の撮影席では決定的な瞬間を逃すまいと、撮影者らが一心にファインダーをのぞき込む。
スポーツ写真などに使うプロ向けの機材では従来、キヤノンとニコンがシェアを分け合ってきた。望遠レンズの色がキヤノンは白色、ニコンは黒色。世界中から腕利きの撮影者が集まる五輪でのシェア争いは「白黒戦争」とも呼ばれてきた。
パリ五輪では、その様相が変わった。望遠レンズはキヤノンと同じ白色だが、ストラップに記された「SONY」のロゴが目立つようになった。ばらつきはあるようだが、3社が拮抗(きっこう)しているようにみえる競技もある。
報道機関の拠点となるプレスセンター内にカメラメーカーが構えるサポートブースも、今大会からキヤノン、ニコン、ソニーの3社が同じ規模になったとされる。国際オリンピック委員会(IOC)の依頼を受けて設営され、機材の貸し出しや故障に対応している。
2016年のリオ五輪では、ソニーのブースはプレスセンターの場外。21年の東京五輪で場内に進出したが、2社に比べてこぢんまりとしていた。今大会は「ようやく」(同社関係者)という、念願の待遇だ。
転換点は東京五輪
ソニーはコニカミノルタのカメラ事業を06年に買収して参入。当初からミラーレスに注力し、一般向けではキヤノンと首位を争うまでになった。
しかし、過酷な環境でも撮影…